室内の空気とトレー表面を別の検収対象にします

電子部品用の真空成形トレーは、室内空気、製品の接触面、納入時の包装状態を分けて清浄度を指定します。空気中の粒子が付着するほか、裁断、搬送、開封から異物が入る経路もあります。調達時に決めるのは、使用工程へ届く状態と、その状態を判定する検査方法です。

ISO 14644-1はクリーンルームや清浄区域の浮遊粒子濃度によって空気清浄度を分類します。1 記録には粒径、運転状態、測定場所を対応させます。トレー表面は接触する部品と採取範囲から別に指定すると、環境報告と製品の検査記録が同じ目的へ結び付きます。

大学の公開表では、ISO 5の≥0.5 μmにおける上限は3,520個/m³です。2 政府の技術ガイドはFED-STD-209EのClass 100を≥0.5 μmで100個/ft³とし、この粒径でISO 5と比較しています。3 体積換算では100 × 35.31 ≈ 3,531個/m³となり、3,520個/m³に近い値です。粒径を限定した概略比較なので、仕様書にはISO等級、粒径、測定条件を直接記入します。

同じ大学の等級対照表はClass 10,000とISO 7も概略対応させています。採用時には粒径と測定条件を指定します。2

方宇(FUNYO)の洗浄ラインは50 ㎡のクラス100室にあり、薄板真空成形のクラス10,000工場は1,500 ㎡で、2016年に整備されました。レーザーパーティクルカウンターはクラス100室の空気を監視します。トレー表面の粒子、繊維、残留物は、接触部位と合意した採取・判定方法に従って検収します。

イメージイメージ: 空気と表面の採取を分ける
空気と表面を別々に検収するイメージ タップで拡大

クラス100クリーンルーム(純水洗浄エリア)
クラス100クリーンルーム(純水洗浄エリア)

シートから開封まで、異物が入る経路を追います

洗浄位置を決める前に、トレーが通る工程を確認します。保管したシート、成形後のトリムや抜き加工、積重ね、搬送、包装は、それぞれ異なる接触を生みます。洗浄機出口だけを見るより、受入後の開封とライン脇での一時保管まで含めると、原因を探す範囲を具体化できます。

図面にはポケット底、側壁、位置決め縁、段積み接触部を分けて示します。敏感な部品面に触れる場所と、手で持つ場所や外装材に触れる場所を区別してください。検出した繊維や切片の位置をその区域へ戻せると、部品への影響と搬送中の外観変化を別々に判断できます。

異物調査では、未開封、開封直後、使用後の試料を残します。開封場所と手順を記録し、同じ出荷の包装材も比較対象にします。形、色、分布を観察して、繊維、樹脂片、膜状の残留を整理すると、洗浄、接触材、包装操作のどこを変更するか決めやすくなります。

方宇は2013年から薄板トレーを生産し、2014年から永久帯電防止の真空成形ボックスを主力としてきました。清浄度と静電気対策は別の仕様項目です。包装材を選ぶ際には、開封時の発塵と接触方法に加え、使用工程の静電気管理条件も揃えて検討します。

八つの工程で、洗浄から検査と封装までをつなぎます

方宇の純水洗浄ラインは全長20 m、有効洗浄幅950 mmで、洗浄、エアナイフ、乾燥を一体化しています。検討対象は洗う面だけでなく、水が残る場所と包装への受渡しも含みます。納入仕様には、工程ごとに維持する状態と、次の担当へ渡す条件を記載します。

  1. 洗浄機へ投入。 搬送姿勢と支持を確認し、重なって隠れる面を示します。
    ① トレーを洗浄機へ投入
    ① トレーを洗浄機へ投入
  2. DI純水スプレー。 深いポケット、切断端、角部など、洗浄水を届ける部位を確認します。
    ② 純水(DI水)スプレー洗浄
    ② 純水(DI水)スプレー洗浄
  3. 加熱乾燥と搬出。 くぼみや接触部の残水を観察し、材質と形状に合う条件を選びます。
    ③ 加熱乾燥・搬出
    ③ 加熱乾燥・搬出
  4. エアナイフで水切り。 風が届く面と移載時の接触を確認し、洗浄面を保護します。
    ④ エアナイフで水切り
    ④ エアナイフで水切り
  5. 外観全数検査。 見える異常をポケット位置や搬送方向へ対応させて記録します。
    ⑤ 外観全数検査
    ⑤ 外観全数検査
  6. 拡大投影の抜取検査。 合意した位置を観察し、異物の形態を発生源調査へつなぎます。
    ⑥ 拡大投影による抜き取り検査
    ⑥ 拡大投影による抜き取り検査
  7. 真空包装。 検査後のトレーを所定の包装に封じ、開封と再包装の担当を決めます。
  8. パスボックス経由で入庫。 清浄区域と保管区域の受渡しで、包装状態とロットを保ちます。
    ⑧ パスボックス経由で入庫
    ⑧ パスボックス経由で入庫

試作では開口の向き、深い部分、段積み支持と搬送姿勢を合わせ、洗浄と乾燥を終えた状態から包装条件を決めます。

方宇は洗浄後のトレーを20倍に拡大して観察し、動く異物を見つけたら発生源を調べます。この記録は目視できる異物の位置と改善経過を追うために使えます。特定の粒径や化学残留、製品への移行を管理する場合は、その対象に合う検査を別途指定します。

部品が受ける影響から検査方法を選びます

表面の検収は、異物が部品へ与える影響から組み立てます。粒子は接触や組立に、イオン残留は電気関連工程に、揮発成分は敏感な面への付着に関係することがあります。検査名と一緒に採取範囲、媒体、空試験、報告単位、判定方法を揃えると、供給側と受入側の結果を比較できます。

ISO 16232は道路車両の機能に関わる部品とシステムについて、粒子汚染の検査方法と記録を対象にします。4 電子トレーでは用途に合う方法と管理限界を選び、契約へ採用範囲を示します。検査対象と記録の構成を参考にする場合も、実際に取り扱う製品との関係を明確にします。

IEST-STD-CC1246は、汚染に敏感な製品の清浄度を指定し、決定する方法を扱います。5 製品側がこの体系を採用する場合は、対象項目と検査範囲を発注条件へ記入します。規格名に加えて接触面、採取方法、判定基準を揃えることで、そのトレーに必要な要求へ落とし込めます。

管理する対象 一般的な方法の考え方 仕様書へ加える条件
表面粒子 表面採取、または抽出後に計数 粒径区分、採取面積、空試験、報告単位
可視異物 外観と拡大観察 照明、観察区域、倍率、異常の記録方法
イオン残留 敏感な工程に合う抽出と分析 対象物質、抽出媒体、分析法、単位
揮発成分 接触と保管条件に合う分析 試験条件、対象成分、接触時間、判定根拠

採取前に包装状態を確認します。未開封品、開封後、繰返し使用品では、同じ品名でも汚染経路が変わります。異常調査に使う保管試料と空試料は、ロット、採取者、環境の記録へ結び付け、再確認できる状態にしておきます。

洗浄後の状態は、封装と開封の手順で保ちます

洗浄後の保護は、封装、受渡し、保管、輸送、ラインでの開封までを対象にします。トレーに接する包装面、封止方法、収納方向を試作品と一緒に確認します。擦れやポケット同士の接触が心配な形状では、予定した積み方と搬送姿勢で観察してください。

方宇の工程には真空包装とパスボックス経由の入庫があります。購入側は包装単位、ラベル位置、開封場所、使用後の回収を注文条件として追加できます。受入後に小分けする場合、その場所と道具も異物が入る経路へ加え、誰が状態を引き継ぐか決めます。

繰返し使うトレーは、使用状態と洗浄履歴を対応させます。ポケット壁の擦れ、切断端、段積み支持部の摩耗を観察すると、使用中の発塵を切り分けやすくなります。来料時、構内搬送時、再使用時の問題を分けて記録し、変更する工程を選びます。

包装承認では、作業者が部品を載せる直前の動きも確認します。袋を切る位置、外面の置き場、触れるトレー面を示し、承認包装見本の横に手順を残します。受入担当が同じ手順を再現できれば、洗浄直後の状態と使用地点の状態を比較しやすくなります。

清浄度テンプレートで担当と判定方法を揃えます

実行できる仕様書には、試料を出す人、測る人、採取方法、異常時の再確認を記入します。下表は契約文を整理するための記載例で、具体的な粒径や数量は製品リスクから決めます。対象部位を示した図面と使用環境を添えて、各条項の範囲を共有してください。

条項 推奨する記載 記載例 測定・確認者 抜取り方法
室内空気 等級、粒径、運転状態、報告範囲を指定 合意した環境条件による 供給側監視、購入側照合 合意した室内採取計画
接触面の粒子 区域、粒径区分、計数単位を記入 合意した粒径と数量による 合意した検査担当 ロットと指定接触区域ごと
可視異物 観察面、照明、倍率、記録を指定 承認した異物判定規則による 供給側検査、購入側抜取 指定ポケットと採取計画
化学残留 対象物、方法、単位、空試験を指定 製品感度から対象項目を決定 合意した分析機関 合意した抽出と保管試料計画
洗浄と乾燥 工程範囲と受渡し条件を指定 承認試作の工程説明による 供給側記録、購入側確認 工程と案件の検査計画
包装と開封 接触材、封止、開封、再包装の担当を指定 承認した包装状態による 各担当が受渡しを確認 受入ロットごとに封装確認
異常の再確認 保管試料、背景再測定、担当を指定 合意した調査手順による 双方が合意した担当 該当ロットと保管試料を確認

清浄度仕様の記載テンプレートをダウンロードし、案件の条件を補います。初期試料で採取方法と背景を確認し、その後の供給検査を承認した計画へ合わせます。合意した仕様はトレー改訂と納入包装の状態へ対応させます。

承認前には、受入検査の結果を供給側の結果とどう比べるかも確認します。抽出、採取面積、開封状態が異なると数値の意味が変わるためです。試料がある段階で定義を揃え、後日の調査に残す材料と記録を決めておくと、連絡内容が具体的になります。

通常の通い用途では、洗浄を省く判断もできます

敏感な面に接しない部品の通常搬送や、後工程で適切な処理をする用途では、成形後の保護と通常検査から検討できます。追加洗浄には移載、乾燥、包装が伴います。その作業が実際のリスクを減らし、材質と使用経路に合うかを試料で確かめて選びます。

汚染の許容度、再使用、開封条件、異常の結果を一緒に判断します。光学面、精密電子の接触面、後から除去しにくい残留を扱う場合は、より具体的な管理を検討します。一般構造部品の周転では、実際の搬送と接触を再現して、保護方法の妥当性を確認できます。

次は使用工程と検査方法を添えて相談します

トレーと製品の接触区域を示し、受入後に敏感な工程へ直接投入するかを説明してテンプレートを埋めます。寸法と清浄度は別の図面・検査条件にし、包装は納入状態として示します。試作承認の前に検査と包装の担当範囲を揃えてください。

現状の工程は技術的清浄度、薄板真空成形の対応、トレー・内装材で確認できます。電子・先端設備用途と薄板・厚板真空成形の違いも参考にし、用途と成形方法を決めたうえで洗浄の条件を整理します。