最初に決めるのは、型へ接する面です
厚板真空成形の設計では、型へ接する面を決めてから、抜き勾配、コーナーR、後加工の形状を整理します。外観を合わせたい面と、組立の位置を決める面が別になることもあります。それぞれの役割を図面に示すと、型の構成と検収条件を同じ目的で検討できます。
雄型では、凸形状を包み込むシートの内面が型へ接します。雌型では、キャビティへ入るシートの外面が型へ接します。接触面は型の輪郭を直接受け取り、反対側の面にはシート厚さと局所的な伸びの影響が加わります。シート由来のシボを残すのか、型側の細部を転写するのかも、同時に整理してください。
外装の見切りと内側の取付位置を両立させる場合は、骨格を入れた断面図が役立ちます。骨格側の基準から加工穴と端面を定め、自由面の変動が組立寸法全体へ伝わることを避けます。曲面のどこを検査し、どこを組立で合わせるかが明確になり、検査用の支え方も選びやすくなります。
成形面、自由面、加工面の寸法の扱いは、大型真空成形品の公差ガイドで整理しています。外観の見本だけで型を決めず、相手部品、検収図、基準の関係を揃えてから金型案を比較します。
抜き勾配は離型方向と表面から比較します
抜き勾配は、側壁が離型方向に対して持つ傾斜です。先に離型方向を示すと、どの面が取り出す際に接触するかを確認できます。冷却したシートが雄型を抱き込む一方、雌型の内側では収縮によって側壁から離れやすくなるため、凸部と凹部を個別に見ます。
方宇の厚板外装の設計の目安は、雄型≥3°、壁高200 mm超は≥5°、雌型≥1°です。型接触面のシボ深さ0.025 mmごとに1°追加し、非接触面を向く板材シボは追加不要とし、初品で確認します。
板材メーカーの熱成形手引きは、最低勾配の参考を雄型2–3°、雌型0.5–1°としています。1 同じ手引きは、シボ深さ25 μmにつき約1°の勾配追加を目安としています。1
壁を傾けると、開口の輪郭や相手部品とのすき間も変わります。外側だけで勾配を確保して終わらせず、取付支持部、画面周辺、隣接するカバーを組立状態で照合してください。見え方の制約が強い場所ほど、型構成と分割位置を一緒に議論すると選択肢を整理できます。
離型に追加の機構や手順を使う案では、工具の移動、取出し順序、外観面への接触を型図に残します。見積依頼にも同じ構成を添えれば、金型の価格と成形時の作業範囲を対応させて比較できます。試作後は、実際の取出し状態も承認条件に含めます。
方宇の厚板外装、設計の目安10項目
図面検討前の初期値です。最終形状は初品で確認します。
| 項目 | 方宇の設計の目安 | 業界資料との比較 |
|---|---|---|
| 勾配 | 雄型≥3°、壁高200 mm超は≥5°、雌型≥1° | 雄型2–3°、雌型0.5–1°;資料[1] |
| シボ | 型接触面は深さ0.025 mmごとに1°追加。非接触面を向く板材シボは追加不要 | 深さ25 μmで約1°追加;資料[1] |
| R | ≥初期板厚、推奨≥2倍。8 mm板なら約16 mm | 雌型の深絞り品:比2:1超でR≥12.7 mmか45°面取り、3:1で約25.4 mm;資料[2] |
| 面積延伸比 | 通常外装≤3:1。超える場合は形状変更か分割 | 可能なら3:1未満;資料[2] |
| 雌型深さ比 | 深さ≤開口幅(≤1:1)。深い場合は分割検討 | 雌型2:1の参考;資料[3] |
| 工程余白 | トリム線の外に各辺約30–50 mm、クランプと位置決め用 | — |
| 穴の縁距離 | トリム線とR開始点から≥初期板厚の2倍 | — |
| 最薄部 | 深い角を初期板厚の約1/3で仮置き | — |
| リブ | 高さ≤底幅、底幅≥板厚の3倍、根元R≥板厚 | — |
| 収縮率 | ABS 0.5–0.7%、PC 0.6–0.9%、PVC 0.4–0.6%、PETG 0.3–0.6%、PP 1.5–2.0%。初品後に補正 | — |
コーナーRと面積延伸比で薄くなる場所を探します
方宇の厚板外装のRの設計の目安は≥初期板厚、推奨≥2倍で、8 mm板なら約16 mmとし、初品で確認します。
コーナーRは材料の回り方、強度と設置空間を左右します。板材メーカーの熱成形手引きは、雌型の深絞り品で面積延伸比2:1超の場合、コーナーRを約12.7 mm(1/2 in)以上か45°の面取り、3:1で約25.4 mm(1 in)とすることを推奨しています。2 図面では内面Rか外面Rか、参照する厚さは何かを明示してください。
方宇の厚板外装の設計の目安は面積延伸比≤3:1、雌型の深さ÷開口幅≤1:1とし、超える場合は形状変更か分割を検討して初品で確認します。
深さと開口幅の比は形状を表し、面積延伸比は利用できるシートが覆う面積を表します。板材メーカーの技術資料は雌型の深さ比を2:1以下とし、面積比を成形前面積÷成形後面積と定義しています。この記事の面積延伸比はその逆数です。3 CADでは成形に参加するフランジを同じ境界へ入れ、クランプされる捨て代を分けます。
面積延伸比 DR = 成形品表面積 Af ÷ 成形前シート面積 A0。
平均肉厚 ≈ 初期シート厚さ t0 ÷ DR。
この手引きの延伸比は面積に基づき、可能なら3:1未満とすることを推奨しています。2 プラグアシストを使うと、雌型の深さ比は上記2:1の目安より大きくできます。3 細く深いポケットでは、全体面積に加えて周辺からの材料供給を確認します。先に型へ触れた部分と最後まで延びる部分では、残る厚さが異なるためです。
計算例:勾配のある箱形状を順に計算します
幾何計算の例として、開口400 × 300 mm、深さ100 mm、側壁勾配5°、初期シート厚さ8 mmを使います。コーナーR、フランジ、クランプ部を省略し、薄肉の中立面で計算します。開口内の材料が再配分されるという仮定を置き、以下の寸法と角度を入力値とします。後の計算には丸め前の値を使い、以下の中間値は小数点以下三桁で表示します。
- 有効な初期面積 A0:400 × 300 = 120000 mm²。
- 各辺の内側への移動:100 × tan(5°) = 8.749 mm。底面寸法は382.502 × 282.502 mmです。
- 側壁の斜面高さ s:100 ÷ cos(5°) = 100.382 mm。
- 底面積:382.502 × 282.502 ≈ 108057.758 mm²。
- 四壁の面積:s × (400 + 382.502 + 300 + 282.502) ≈ 137021.863 mm²。
- 成形面積 Af:底と四壁の合計 ≈ 245079.621 mm²。
- 面積延伸比:245079.621 ÷ 120000 ≈ 2.04233。
- 平均肉厚:8 ÷ 2.04233 ≈ 3.92 mm。
平均3.92 mmという結果から、局所的な最小肉厚を直接決めることは避けます。コーナー、最後に型へ触れる領域、型から遠い領域はさらに薄くなり得ます。取付穴の周辺や荷重を受ける場所と併せて、試作の測厚位置を図面へ示します。R、深さ、分割を変えたら面積も拾い直してください。
初期板厚と成形後の要求肉厚を分けて記入します
方宇の厚板外装では、深い角の最薄部を初期板厚の約1/3で仮置きする設計の目安とし、初品の測厚で確認します。
購入するシートの厚さと、成形品の重要部で必要な肉厚は、別の要求として記入します。方宇(FUNYO)の外装でよく使う初期板厚は8–10 mm、板厚の最大は15 mmです。選板の条件を出した後、深さ、R、加熱、接触順序に応じて成形後の分布を確認します。
図面には、取付部、荷重部、深い角など、厚さを確認する領域を示します。単品を支える治具上で測るのか、骨格へ組み付けて確認するのかも揃えてください。試作承認と検査記録に同じ領域番号を使うと、結果から形状変更へつなげやすくなります。
初期板厚を増やす案は、加熱、取扱い、取付構造への影響も含めて比較します。弱い場所が局所的なら、まずRのつながり、材料供給、部品分割を確認します。板厚だけを変える場合と、形状を変える場合の違いを同じ検収目標で判断できるようにするためです。
材料名の選択と成形後の要求をまとめて確認する際は、シート材料の選定ガイドも使えます。表面の見え方と必要な強度を、試作のどの状態で判断するかまで記録し、選板と承認の担当間で共有します。
アンダーカットや取付部は、取出し経路から比較します
アンダーカットでは、型を退避させる方向と製品を取り出す経路を最初に図示します。業界では可動部や取外し部品を備える型、部品分割、成形後加工などを比較します。方宇の厚板品でのアンダーカット、ボス、インサートの構成は案件ごとに確認し、希望する接続方法と比較します。
方宇の厚板外装のリブの設計の目安は、高さ≤底幅、底幅≥初期板厚の3倍、根元R≥板厚とし、初品で確認します。
広く緩やかな成形リブは、形状によって剛性を持たせる案になります。根元、頂部、隣接する溝へどのようにシートが回るかを同時に確認してください。狭く深い内部形状では伸びが集中するため、取付荷重を骨格や別体ブラケットへ持たせる案とも比較します。
後付けのボスや金属部材では、荷重の流れ、工具の入り方、保守時の分解を記入します。接着を使う場合は材料との適合、接触面積、試作での確認を関係者で決め、締結を使う場合は座面と支持の関係を確認します。これらは形状と供給範囲を合わせて判断する項目です。
外観カバーに全ての機能を集める前に、独立した支持部で受ける機能と、カバーで担う機能を分けてください。見積では各部材の支給、取付、検査を誰が行うかを回答してもらい、承認する構成を一つにまとめます。
穴、溝、トリム線は位置決め治具と合わせます
画面開口、取付穴、溝、合わせ面は、工具と支持が届く条件で成形後にCNC加工できます。方宇は三軸・五軸CNCで金型製作、成形品のトリムとバリ取り、穴と溝の加工を行います。工具と支持が届くことを確認するため、成形ブランク、完成輪郭、治具の基準面を区別してください。
方宇の厚板外装の設計の目安は、工程余白が各辺30–50 mm、穴の縁距離がトリム線とR開始点から板厚の2倍以上で、初品で確認します。収縮率の設計の目安はABS 0.5–0.7%、PC 0.6–0.9%、PVC 0.4–0.6%、PETG 0.3–0.6%、PP 1.5–2.0%とし、初品後に補正します。
工程余白にはクランプ、位置決め、工具の進入と切落し部の安定性を織り込みます。ブランク図には余分な部分を、加工図には完成端面を示します。取付穴が骨格基準を参照する場合は、治具でもその関係を再現します。
開口の周辺では残るつなぎ部分、内角、見える切断面を確認します。配線口は線材と端部の接触、画面周囲は実装後のすき間、点検口は繰返し脱着時の支持が関係します。機能ごとに要求を分けると、加工工程と検査方法を具体化できます。
型から出た状態と加工後の状態を別図で示せば、成形時の端部を完成寸法として扱う混乱も減ります。試作では、加工前の支え方から最終検査までを同じ図面改訂へ結び付け、孔位置と輪郭の結果を一緒に確認します。
設計確認は20項目のチェック表で閉じます
チェック表には、図面にこれらの条件が記載されているかを記録し、根拠となる視図や断面を対応させます。参考値と出典を隣の列に置き、材料、表面、型の構成を変えた際に見直す項目を分かるようにします。決定待ちの事項には担当と完了条件を添え、図面改訂と一緒に管理します。
| 項目 | 確認内容 | 参考値と出典 | はい / いいえ / 対象外 |
|---|---|---|---|
| 型への接触面 | 意匠面、組立面、接触面を示す | 外観図と組立図で確認 | |
| 雄型の勾配 | 方向、壁高さ、取出し経路を示す | 方宇の目安≥3°、壁高200 mm超≥5°;資料[1] 2–3° | |
| 雌型の勾配 | 凹部と離型を個別に確認 | 方宇の目安≥1°;資料[1] 0.5–1° | |
| シボ面 | シボの由来と方向を示す | 方宇の目安:接触面の深さ0.025 mmで1°追加、非接触面向き板材シボは追加不要;資料[1]約1°/25 μm | |
| 取出し経路 | 工具と製品の移動順序を確認 | 断面と型構成で確認 | |
| コーナーR | 内外Rと厚さの定義を分ける | 方宇の目安≥板厚、推奨≥2倍;雌型の深絞り品:資料[2]比2:1超でR12.7 mmか45°面取り、3:1で25.4 mm | |
| 深さ比 | 深さと開口幅を記録 | 方宇の雌型目安≤1:1;資料[3]雌型2:1 | |
| 面積の境界 | 成形へ参加するフランジを含める | 図面と試作で面積境界を定める | |
| 延伸比の上限 | 材料と成形方法を確認 | 方宇の面積比目安≤3:1;資料[2]可能なら3:1未満 | |
| 初期板厚 | 選板と成形後の要求を分ける | 方宇の外装は初期板厚8–10 mmが一般的 | |
| 板厚の範囲 | 必要な初期シートを確認 | 方宇の板厚最大15 mm | |
| 成形後の肉厚 | 重要部と測定状態を示す | 領域確認と試作測厚で確認 | |
| 局所的な薄肉化 | 深い角と最後の接触部を識別 | 方宇の深角の目安は初期板厚の約1/3;初品測厚 | |
| アンダーカット | 可動部と取出し経路を描く | 厚板の構成は案件ごとに確認 | |
| リブ | 根元、頂部、隣接する溝を確認 | 方宇の目安:高さ≤底幅、底幅≥板厚の3倍、根元R≥板厚 | |
| ボスとインサート | 接続と供給範囲を定義 | 厚板の構成は案件ごとに確認 | |
| CNCの形状 | 穴、溝、完成端面、基準を示す | 方宇の三軸・五軸CNCの範囲 | |
| トリム代 | クランプ、定位、工具進入を確認 | 方宇の工程余白の目安:トリム線外に各辺30–50 mm | |
| 穴の縁距離 | 穴の縁からトリム線とR開始点までを指定 | 方宇の目安≥初期板厚の2倍 | |
| 測定基準 | 骨格と検査支持を対応させる。図面と承認見本の版を対応させる | 組立図と測定状態で確認 |
ダウンロード表は、ウェブの表と同じ内容です。出典番号は記事末尾の出典一覧に対応します。回答を図面の領域番号へ対応させ、相手部品と取付状態を添えて送ってください。設計者は提案が及ぶ形状を確認でき、購買側は金型、治具、後加工の供給範囲を揃えて比較できます。
別工法や部品分割を先に比較する形状は?
密集した内部ボス、複雑な爪、小さく深い溝、両面で精密な輪郭を求める形状では、別の製法を早めに確認します。大きな意匠面と、荷重や位置決めを担当する部材を分ける方法もあります。機能の分担を決めたうえで、外観、投資、検査の組合せを比較します。
組立で許される累積変動が小さい部分では、基準と加工面へ管理寸法を集められるか確認します。精密な位置決めを担う部分は、別途機械加工したブラケットへ変更できます。内部形状を集約する成熟設計では射出成形も比較できます。共通の組立基準を残すと、工法の異なる試作品も同じ目的で確認できます。
次は外観面、測厚部位、加工基準を添えて相談します
管理図面、離型方向、要求肉厚の領域、骨格、記入した表を送ります。方宇の厚板品は単品最大2600 × 1600 × 600 mmです。外形の範囲に加え、分割、初期板厚、加工の到達性を同時に確認すると、具体的な型案と検査の質問へ進めます。
方宇は2023年に厚板真空成形を開始し、2025年に専任事業部を設け、厚板成形と五軸設備を導入しました。4時間以内に返信し、2営業日以内に適用性評価と比較見積を提示します。その後、取出し、試作の測厚、承認条件を案件の資料へまとめます。