真空成形品の寸法は、温度、放置時間、支持方法を揃えて比較します。全体が小さくなる収縮と、面が曲がる反りは別の現象ですが、同じ外装に重なって現れることがあります。カバーが取り付かない、縁が浮く、穴位置が合わない場合は、成形輪郭、CNC加工部、組立時の拘束を分けて記録し、金型と構造、検査条件のどこを直すか判断します。
収縮は冷却中だけでなく離型後にも進みます
収縮は、加熱されたシートが使用時の状態へ戻る過程で寸法が小さくなる現象です。型に接している間は、その面が金型に拘束されます。形を保てる状態で取り出しても、冷却と拘束の解放が続くため、離型直後と後から測った寸法には差が生じる場合があります。測定時点を工程の中に位置付けることが先決です。
寸法が小さいときは、何と何を比較しているかを確認します。型の寸法、型に接する面、反対側の自由面では、対象となる境界が異なります。自由面には局部肉厚や延伸の分布も影響します。開口の内側と外側を別々に測れば、その差が収縮として扱われるおそれがあります。断面図で接触位置と測定方向を揃えます。
方宇(FUNYO)の厚板真空成形では、初期板厚は最大15 mm、外装には8–10 mmがよく使われます。初期板厚は投入するシートの条件で、成形後の肉厚は形状と延伸によって変わります。材料グレード、初期板厚、成形方向、薄くなる領域を変形の記録に添えると、形状と材料の変更を追いやすくなります。
離型後には残留応力の緩和が形状に影響することもあり、環境温度が変われば熱膨張による寸法変化も加わります。全体の縮小、局部的な曲がり、温度に伴う変動を分けて記述します。「寸法が不安定」という表現だけで終えず、時点と状態を残すことで、原因を探るための比較ができます。
材料別の収縮率は設計の目安とし初品で補正します
型の収縮補正は材料別の目安から始め、初品を測って調整します。下表は方宇の厚板外装向けの設計の目安であり、初品で確認して補正します。対象グレード、板厚、方向、工程条件を揃えて、型のどの寸法へ適用するかを決めます。
| 材料 | 型の収縮率の設計の目安 | 確認方法 |
|---|---|---|
| ABS | 0.5–0.7% | 初品測定後に補正 |
| PC | 0.7–1.0% | 初品測定後に補正 |
| PVC | 0.4–0.6% | 初品測定後に補正 |
| PETG | 0.3–0.6% | 初品測定後に補正 |
| PP | 1.5–2.0% | 初品測定後に補正 |
特定のPC系などのシートを対象とする加工資料には、型収縮の参考として製品寸法の0.7–1.0%が示されています。1 採用するシートの資料も確認します。上表のPCの目安はこの範囲と揃えていますが、実際の型補正は対象部品の初品結果に基づいて決めます。
収縮補正と寸法公差は役割が異なります。補正は成形後の基準寸法を目標に近付け、公差は納入品の許容差を定めます。長辺、開口、取付面、穴間隔を別の検査特性として扱うと、どの箇所で差が生じたかを把握しやすくなります。材料の割合だけで外装全体の判定を済ませず、組立機能に結び付けます。
雄型と雌型では、冷却時に拘束される面も変わります。雄型を抱く外装は内側の輪郭が関係し、雌型では外側が型に沿います。管理したい面と離型方向を断面へ記入し、補正と抜き勾配を一緒に見ます。型構造との関係は真空成形の金型ガイドにまとめています。
冷却と肉厚と拘束の偏りが反りを生みます
反りは、各領域の収縮や曲げに対する抵抗が揃わず、面が曲がったりねじれたりした状態です。厚薄の境界、深い角、広い平面、開口の縁では、冷えて形を保つ時点が異なることがあります。後から縮む領域が、先に形を保った部分を引く関係を見ていきます。
広い平面は曲面に比べて形状による支えが少なく、周囲の縁やリブ、取付位置の影響を受けます。片側だけに深い形状や補強部がある場合も、作用が偏ります。正面写真だけでは対角方向のねじれを見落とすため、側面と支持位置が分かる写真を組み合わせます。浮いている方向も記録します。
まだ柔らかい状態で離型すると、取出しや搬送時の荷重で形が変わることがあります。型から外す方向、局部的な引張り、拘束の残り方を記録します。その後の保管でも、支えのない縁に荷重が掛かると別の変形が加わります。成形、トリム、保管、組立の状態を分けて、変化が始まった工程を追います。
撮影と測定には、繰り返し置ける支持方法を使います。手で押さえた状態だけを残すと、荷重を掛ける前の輪郭が分からなくなります。まず自由状態を記録し、続いて実際の取付方法で拘束した状態を残します。外観、組立隙間、機能干渉のどこに影響するかを分けて判断できます。
リブとフランジと対称配置で面の支え方を変えます
反りを減らすには、形状と成形条件を一緒に考えます。連続したフランジ、滑らかな遷移、目的に沿ったリブは、面の剛性と支持の経路を変えます。同時に、深い延伸や離型の障害が増えていないかも確認します。外観面と取付部、補強を同じ断面に置くと、全体のつながりが見えます。
方宇の厚板外装向けリブの設計の目安は、高さを底幅以下、底幅を初期板厚の3倍以上、根元Rを初期板厚以上とし、初品で確認します。この目安で配置を始め、局部延伸と肉厚測定の結果を見て修正します。リブの方向や位置は、支持間隔と実際の取付方法に合わせます。
対称配置は明らかな形状の偏りを減らしますが、肉厚と冷却も含めて観察します。孤立した厚い部分や急な遷移を避け、縁の支えが連続するように考えます。外観上、広い平面が必要な場合は、周囲フランジ、内側フレーム、分割外装を比較します。それぞれの接合部と保守空間も図面に入れます。
方宇は三軸・五軸CNCで型を製作し、成形後の穴、溝、トリムを加工します。加工治具の支持条件も、組立の目的と揃える必要があります。反った外装を強く押さえて加工すると、クランプを外した後に位置関係が変わることがあります。成形と加工の基準を組立に結び付けます。詳しい形状の目安は構造設計ガイドを参照してください。
測定値には温度と放置時間と支持状態を添えます
寸法を比較するときは、測定条件を揃えます。暖かい生産場所から移した直後の部品、空調室に置いた部品、フレームに固定した部品では、温度と拘束が異なることがあります。検査仕様に、環境、部品、測定器の状態と、その記録方法を定めます。
放置時間は、材料、構造、用途に応じて両者で取り決めます。どの工程から時間を数え、どう支持して、いつ測るかまで書きます。「冷却後」という記載だけでは、再測定の条件が揃いません。線膨張の考え方と計算例は大型成形品の公差ガイドにあるため、必要な場面ではその方法を共有します。
自由状態の検査は部品そのものの形状を示し、取付状態の検査は指定された拘束の下での形状を示します。フレームが位置を決める製品では、接触面、固定位置、締結順序を明示します。自由状態の平面も機能条件であれば、別の特性として測定方法を決めます。検査成績書には、どちらの状態かを記載します。
方宇のニコンVMR-6555とVMS-5040の画像測定設備は、トレーなど中小部品を対象とします。大型厚板外装の測定方法は、寸法、基準、検査項目に合わせて協議します。設備名に加えて、置き方、測定点へのアクセス、図面要求との対応を確認することで、結果の解釈が揃います。
検査表で収縮と平面度と組立条件を仕様に落とします
受入条件は、対象面、測定方法、測定状態を組にして記載します。下表の記入欄は空欄とし、案件の条件を書き込めます。収縮と反りの確認表はウェブ表と同じ内容です。取付機能を先に揃え、次に自由輪郭と外観を決める順序で使います。
| 確認項目 | 重要な理由 | 図面・仕様への記載方法 | 記入欄 |
|---|---|---|---|
| シートグレード | 同じ樹脂でもグレードが異なる | 材料名、グレード、代替承認を記載 | |
| 初期板厚 | 投入時と延伸前の条件を決める | 初期板厚と成形後の測厚位置を区別 | |
| 型接触面 | 型が直接管理する面を決める | 接触側と断面の重要寸法を表示 | |
| 収縮補正 | 型と目標部品の寸法を結ぶ | 設計の目安と初品補正版を記録 | |
| 測定温度 | 温度で比較結果が変わる | 環境、部品、測定器の状態を合意 | |
| 放置時間 | 離型後にも状態が変わる | 起算工程、置き方、測定時点を指定 | |
| 自由・取付状態 | 拘束によって形が変わる | 自由測定か対象フレームかを明記 | |
| 支持点 | 支持位置がたわみに影響する | 位置と接触方向を図示 | |
| 締結方法 | 締付けが面を引いたりねじる | 部品、順序、取付条件を記載 | |
| 平面度の領域 | 部分面と全面で要求が異なる | 対象面、測定点、判定方法を指定 | |
| 重要な穴間隔 | 加工と組立の基準を結ぶ | 基準、方向、相手部品を記載 | |
| 外観と隙間 | 取付機能と見え方を揃える | 観察状態、継目、相手輪郭を合意 | |
| 搬送と積重ね | 保管時の荷重で形が変わる | 支持、包装、積重ね条件を合意 | |
| 初品と変更 | 修正後の比較根拠を残す | 図面、型、工程、報告の版を関連付け |
平面度では、測る領域、基準平面、点の取り方や走査方法、計算と判定の方法を定めます。柔らかい外装では、重力の方向とクランプの状態も必要です。図面に単に「平らにする」と書くより、購買と検査が同じ手順で判定できる記載へ具体化します。
初品では、輪郭、重要寸法、局部肉厚、実際の組付けを同じ版の記録にまとめます。型や加工治具を変更したら、同じ条件で測って差を追います。見た目の判定は外観欠陥と受入ガイド、承認の進め方は試作と初品確認と合わせて使えます。
広い自由平面に厳しい要求があるときは構造を比較します
大きな支持されない平面に厳しい平面度を求める場合は、フレームによる拘束、分割、別工法を比較します。要求がシール、可動部の隙間、外観、取付面のどれに関係するかを整理します。外装単体で形を保つ必要があるか、装置側で支えられるかによって選択が変わります。
安定した骨格がカバーを支持するなら、自由輪郭と取付後の機能面を分けて規定できます。無負荷の平面そのものが機能を持つ場合は、同じ検査方法を使って板金や切削板部品などと比較します。成形形状、後加工、支持部品、検証工程を含めることで、平面度の数値だけに判断が偏るのを防げます。
次は図面、材料、反りの写真、支持の略図、測定記録をまとめて送ります。方宇は4時間以内に返信し、2営業日以内に適用性評価と比較見積を提示します。品質保証ページで検査設備を確認し、実寸と取付条件を添えて、初品をどう測り、どう組み、どう承認するかを取り決めてください。